友人がホームレスになっていた話①
どうも!
早速ですが……
僕は昔から野球が好きでプロ野球を観たり、実際やったりしてたんですが、まあ、やってたって言っても少年野球に入る訳でもなく、学校終わりとかに近所にあるグラウンドで仲のいい友達数人とキャッチボールをしたり、フリーバッティング的なことをしてたくらいです。
でも遊びといえど上手くなろうと、結構ガチでやってましたね。
そして小学校中学年くらいかな? その時も友達3,4人とフリーバッティングみたいなことをしていたんですね。普段はほとんど人が来ないいつものグラウンドで。
そしたら急にシルバーのバンが僕らのすぐ近くを横切って、グラウンドの端に停車しました。
何だろうなと思って一旦、みんなの視線がその一台の車に……
そして、運転席のドアが開き、スキンヘッドで年齢は60くらいの男性が車から降りてきました。
その時僕らは正直面倒だなと。
というのも、いつも広大なグラウンドを貸し切り状態で楽しく遊んでいたのに、他の人に入ってこられると、ただただその人が気になって仕方がない。
気を遣わず楽にやりたかったんですよね。
まあ、こっちはこっちでしばらく勝手に投げては打ってを一人ずつ交代方式でやってたんですね。
一応、後部座席をがさがさやってるその人をチラチラと横目で見ながら。
そしたらその人、手に持っていたグローブとバットをザラザラの地面に置いて、着ていた白いTシャツと長ズボンを脱ぎ始めました。
僕らは「え?」と驚くより、「おもろいな。あの人」みたいな感じで笑ってました。
そしてパンツ一丁になってグラウンドをランニングし始めたんです。
僕らはもう、一旦野球を中断して、全員集合ですよ。
一つの場所に集まって、作戦会議ですよ。
「あの人やばいな」とか「完全不審者やん」みたいな感じで面白がってましたね。
靴も履かず、トランクス一つだけで走り回るおっさんを変態扱いしながら。
まあ、実際そんな人いたら変態ですよね(笑)
そしてそのおっさんがこっちに向かって走って来る度に「やばいやばい」みたいに面白がって何度も笑ってたわけですよ。
結局グラウンドを3周くらい走ってから、グローブを置いていた場所に戻って、今度は近くのフェンスに向かって壁当てをし始めたんですね。
パンツ一丁そのままの姿で。
「いや、そのままかーい」てな感じで、こっちもまだその人の姿を見ていました。
しかもフェンスにボールを投げるもんだから、全く跳ね返らず、一回一回そこまで小走りでボールを取りに行って……
ある程度投げたら、車の後部に戻って、左手にはめていたグローブを今度は右手にはめて、つまり左利用のグローブでまた壁当てを始めました。
「両投げかーい」
でもフォームといったらひどいもんで、明らかに無理やり投げてる感じ(笑)
見た目の通り、右投げの人がそのまま左で投げているような。
僕らはそれをしばらく見た後、また何となく野球を再開しました。
数十メートル先で右と左の両打席で素振りをするパンツ一丁のおっさんを気にしながら。
段々日が沈み始め、その日は解散しようという事でその人より先にグラウンドを後にしました。
でもやっぱり途中の帰り道まで、話の話題はそのおっさんの事。
好奇心旺盛な小学生たちには気になって仕方が無かったのです。
ただ今まで僕はその人を何度か見かけたことがありました。
スキンヘッドのパンツ一丁で野球をしている男を。
続く。